甲状腺機能低下症

【概要】

甲状腺機能低下症とは、慢性的な甲状腺の炎症などにより甲状腺ホルモンが出なくなり、活動性が大きく低下するとともにむくみや全身のだるさなどが現れ、活気がなくなる病気です。男性よりも女性に多くみられます。

【症状】

甲状腺機能低下症は初期症状がほとんどありませんが、以下のような症状がみられる場合、甲状腺機能低下症の可能性を考えます。

  • 目の上(まぶた)や顔が腫れてしまう
  • 嗄声(させい)(声がかすれる)がある
  • 声が低くなる
  • 皮膚ががさがさする

また、全身の新陳代謝を活性化させる甲状腺ホルモンですが、少なくなると以下のような症状が起こります。

  • 圧迫してもへこまない足やまぶたのむくみ(粘液水腫)
  • なにごとにもやる気をなくしてしまう抑うつ症状
  • 忘れっぽくなったり新しいものを覚えづらくなったりする(認知機能の低下)
  • 皮膚の乾燥
  • 食欲が減るのに体重が増える
  • 脈がゆっくりになる(徐脈)
  • 月経異常
  • 少しの運動で息苦しく感じたり、疲れやすくなったりする(易疲労感)

【原因】

まだ詳しい原因の全てはわかっていません。しかし、以下のとおりわかっている部分もあります。

橋本病

橋本病の正体は甲状腺の慢性的な炎症であり、本来ならば身体を守るべき抗体が甲状腺を誤って攻撃してしまう自己免疫が原因と考えられています。

甲状腺ホルモンをつくる細胞がもつサイログロブリン、または甲状腺ペルオキシダーゼという物質に対して、誤ってつくられた自己抗体ができてしまい、自分の免疫系によって甲状腺が壊される病気です。

この病気は家族内発症することがあり、遺伝が関係あるのではないかと考えられています。

亜急性甲状腺炎

急激な発症ではないものの甲状腺に比較的緩徐に炎症が起きる亜急性甲状腺炎は、甲状腺自体が細菌やウイルスに感染することにより生じます。炎症がある程度続くと、甲状腺が壊れきってしまうため一時的に甲状腺ホルモンの量が低下してしまい、甲状腺機能低下症の状態になります。

下垂体性甲状腺機能低下症

下垂体性甲状腺機能低下症は、下垂体に腫瘍(しゅよう)などの異常が生じることでTSHという甲状腺ホルモンの分泌を促進させるホルモンが低下するために、甲状腺自体は正常であっても血液中の甲状腺ホルモンの量が低下する病気です。

そのほかにも、バセドウ病の手術後や放射性ヨードによる治療後にも甲状腺機能低下症になることがあります。また、クレチン病という、子どもにみられる先天性の甲状腺機能低下症もあります。

【鍼灸治療】

鍼灸治療することで低下した身体機能を補うことができる。 甲状腺ホルモン分泌量の過多、不足から、起こる甲状腺疾患に伴う症状に、鍼灸治療では症状や体質に合った治療を行い、免疫異常や虚弱体質を回復させ、ホルモンのアンバランスを改善する。

背中に鍼をさす鍼灸師の写真(画像)|フリー素材「ぱくたそ」