ホルモンバランスの乱れ

【概要】

女性ホルモンを分泌する卵巣は、ホルモンが大きく影響する女性の体にとって最も大切な臓器のひとつです。卵巣では女性の体にとって特に重要な2種類の女性ホルモン、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)がつくられて分泌されています。卵巣の働きに異常をきたすと、女性ホルモンの分泌が不足したりバランスが崩れたりして、無月経や月経不順を引き起こすだけではなく、女性の体に様々な影響を及ぼします。
エストロゲンには、肌の弾力を保つコラーゲンや水分量を増して肌の若さを保つ働きがありますので、エストロゲンが低下すると肌のツヤがなくなったりして肌トラブルが生じやすくなります。またエストロゲンの低下は、更年期障害女性のように情緒不安定になって怒りっぽくなったり、疲れやすく無気力になったりすることもあります。卵巣機能の低下には様々な要因が考えられますが、ストレスや急激なダイエットがきっかけになることは多いです。

【症状】

・生理不順

成人女性の生理周期は25~45日が通常で、出血がある期間は3~7日とされています。ホルモンバランスの乱れによってこの周期が崩れたり、出血量が変化したりすることを生理不順と言います。

過少月経経血の量が少なく、2日以内に生理が終わってしまいます。
頻発月経生理周期が24日以内と短くなります。
過多月経出血が8日以上続くことで、子宮内膜症・子宮筋腫が疑われます。
無月経妊娠しておらず、生理が3ヶ月以上ないこと。強いストレスや極端なダイエットが原因とされています。
・生理痛

生理時の下腹部・腰・背中などの痛み(生理痛)には個人差がありますが、生活に支障をきたすほど痛みが強い場合は、医師の診断を受けた方が良いでしょう。

器質性月経困難症子宮内膜症や子宮筋腫など、何らかの疾患が原因で起こります。
機能性月経困難症子宮の収縮を促すために分泌されるプロスタグランジンというホルモンには痛み・炎症を起こす働きがあり、この異常分泌によって強い痛みを感じます。
・不正出血

生理ではないときに子宮から出血することを不正出血と言います。ホルモンバランスが乱れると子宮内膜が刺激され、子宮内膜が剥がれて不正出血を引き起こします。また、何らかの疾患が原因で起きることもあります。

・PMS(月経前症候群)

生理がはじまる前までに出る症状のこと。排卵後のホルモンバランスの変化によって、以下のような症状が現れます。

身体的症状腰痛、肩こり、頭痛、便秘など
精神的症状集中力低下、やる気低下、イライラ、落ち込みなど
・自律神経失調症

めまいやふらつき、動悸、倦怠感、頭痛、不眠……といった多種多様な症状を引き起こす「自律神経失調症」には、ホルモンバランスの変化が深く関わっています。ホルモンの分泌と自律神経をコントロールする脳の部位が近いため、ホルモンバランスの乱れが自律神経の不調を招き、またその逆も起こり得ます。

・不妊

ホルモンバランスの乱れも、不妊原因の一つとなります。

高プロラクチン血症プロラクチンというホルモンが異常分泌する症状。これによって着床しづらくなります。
黄体機能不全プロゲステロンの分泌量が減少すると、排卵後、子宮内膜を妊娠に適した状態に維持することが難しくなります。
排卵障害排卵が行われない、または排卵できる卵子の準備が整わない状態。
・更年期障害

加齢によるエストロゲンの減少で、のぼせやめまい、動悸、発汗など、さまざまな症状が起こります。

・肌荒れ・ニキビ

女性ホルモンの分泌が減少すると、男性ホルモンの過剰分泌を招きます。それによって皮脂の分泌が活発になり、また毛穴も塞がりやすくなるため肌荒れ・ニキビを引き起こすことにつながります。

【原因】

女性ホルモンの分泌は脳や神経からの指令でコントロールされているため、ストレス・不規則な生活・睡眠不足といったちょっとしたことでもバランスが乱れてしまいます。

【鍼灸治療】

◎内臓を整え、よくなる力(自然治癒力)を高めます

おからだの表面にあるツボは、おからだの奥にある内臓とつながっていると考えられていて、内臓に不調があるとツボに何らかの反応があらわれます。鍼灸治療ではそのツボの反応をしっかりと探り、必要な場所に治療します。鍼灸治療は、おからだを内側から整え、あなたが本来持っている「よくなる力(自然治癒力)」を高めます。

◎筋肉の凝りを緩め、血流を改善します

ストレスや運動不足、冷えなどが続くと、筋肉が緊張して硬くなり、血行が悪くなってしまいます。血行が悪いと必要な栄養素や酸素が体の隅々まで行き渡らず、慢性的な不調があらわれます。肩こり、腰痛、冷え性、お肌のくすみなどもその一例です。鍼灸治療は、凝りを解消し、流れのよいしなやかなからだに導きます。

◎ホルモンバランス、自律神経、免疫系を整えます

血流が改善するので、ホルモンバランス、自律神経、免疫系が整います。これらは、女性の美と健康を保つのにとても大切な3本柱。ストレスなどで自律神経が乱れるとホルモンバランスが崩れ生理不順になったり、免疫機能が低下したり、様々な症状が現れます。鍼灸治療は、婦人科系のお悩み、ストレスによる不調、胃腸症状・不眠・頭痛・動悸など自律神経の乱れによる様々な症状を改善するサポートになります。

◎ストレスによる様々な不調を改善します

ストレスがかかると体がギュッと緊張し、血流が低下。様々な不調があらわれます。実は、ストレスがかかった際、おからだに反応が出るポイントがいくつかあります。当院の鍼灸治療では、そのポイントに鍼をして緊張を緩め、からだをリラックスに導きます。

◎リラックス効果が得られます

鍼灸治療をするとからだの緊張がほぐれ、自律神経の中のリラックスする神経である「副交感神経」の働きが高まります。そのため、気持ちもゆるやかにおだやかになります。

背中に鍼をさす鍼灸師の写真(画像)|フリー素材「ぱくたそ」