【概要】
線維筋痛症とは、関節や筋肉、腱など全身にわたり慢性的な激しい痛みが生じる病気を指します。強い痛みに関連して、不眠やストレス、抑うつ状態を引き起こすこともあります。線維筋痛症は、中高年の女性に多いとされています。
現時点では確実に効果のある治療法がみつかっておらず、薬物療法や非薬物療法を含めた対症療法が主体になります(2018年3月時点)。検査所見で異常を認めることができないため、「痛み」という主観的な自覚症状が鍵となる病気であり、周囲の理解も必要とされます。
【原因】
遺伝的な要因、感染症、心理的・身体的なトラウマなどが誘因として指摘されていますが、確実な原因はこれまでのところ特定されていません。
また、脳における痛みの情報処理の過程に何かしらの障害が存在する可能性も指摘されています。痛みは、問題が生じている部位からの信号を脳が受け取り、それに呼応する形で脳が「痛み」として危険信号を発信することで発生します。線維筋痛症は、この連携体制に異常が生じていることが原因となり発症するのではないかと推定されています。
【症状】
線維筋痛症の症状は、慢性的に持続する関節や筋肉、腱などの全身性の疼痛です。痛みの程度は強いことが多く、本来であれば痛みを誘発しないような軽い刺激(髪が触れた程度)であっても、激烈な痛みが生じることがあります。
痛みは一定ではなく、日によっても波があります。特に睡眠不足や精神的なストレス、過度の運動、天候によって症状が左右される傾向があることも特徴です。線維筋痛症では、痛みの症状以外にも、関節リウマチに類似した朝方のこわばりを感じることもあります。
慢性的に強い痛みがあることから、ストレスが蓄積し抑うつ状態や不眠、慢性的な疲労などを引き起こすこともあります。そのほかに報告されている随伴症状としては、口や眼の渇き、手指の腫れ、寝汗、腹痛、下痢、便秘、動悸、呼吸苦、嚥下障害、頭痛、ふるえ、めまい、浮遊感、耳鳴り、難聴、筋力低下、まぶしさ、などがあります。
線維筋痛症は基礎疾患をもとに発症することもあり、上記に挙げた随伴症状のなかには、そうした基礎疾患の症状を表現しているものもあります。
線維筋痛症を引き起こすことがある基礎疾患としては、
- 関節リウマチ
- 変形性関節症
- 全身性エリテマトーデス
- シェーグレン症候群
- 強直性脊椎炎
などがあります。
【鍼灸治療】
西洋医学では思うように治療効果が得られない線維筋痛症ですが、実は鍼灸は得意とする分野なのです。
線維筋痛症は身体の酷使や精神的ストレスが原因です。最初はある一部分の痛みであったものが長期にわたり症状が続くと、脳で痛みをコントロール出来なくなってきます。実際には痛みが無くなっているのに痛みのサインが出し続けたり、小さな痛みのサインが増幅されてしまいます。鍼灸は全身の緊張をほぐして脳や自律神経の働きを正常にして、痛みが取れやすい状態を作り出します。
そして、痛みの出ている周囲の筋肉の凝り(これが痛みの大本なのです)に繰り返し鍼をすることで徐々に痛みが出なくなってきます。この症状の出ている周囲の筋肉の凝りを繰り返し治療することが一番重要なのです。
長い間続く痛みは、鍼灸治療中も、あっちが治まればこっちが痛む、こっちが治まれば次はあっち と50歩進んでは20歩下がるのように一進一退です。でも、治療を続けることで確実に痛みに強い身体になっていきます。