ジストニア

【概要】

ジストニアとは脳(主に大脳基底核や神経系統)の何らかの障害により、自分の意思とは関係なく持続的又は不随意に身体が動いたり、筋肉が固くなったり収縮したりする難治性の疾患です。ジストニアは筋肉の異常な緊張により手や足や顔面が痙攣したり身体がねじ曲がったりします。

【症状】

痙性斜頸(けいせいしゃけい)

ジストニアの中でも一番多いのがこの痙性斜頸です。
痙性斜頸は、長時間続く(慢性持続性の)不随意な首の筋肉の収縮(けいれん)、または定期的で間欠的な首の筋肉の収縮を特徴とし、首が不自然な方向に曲がってしまいます。(れん縮性斜頸)

眼瞼けいれん(がんけんけいれん)

主にまぶたにジストニアが起こり、まぶたが繰り返し不随意に閉じます。最初は片眼だけに起こることもありますが、最終的には両眼に起こります。過剰なまばたき、眼の刺激感、明るい光に敏感になるなどの症状で始まります。眼瞼けいれんは十分に眼を開いた状態に保てないので、視覚が大きく障害されます。

痙攣性発声障害(けいれんせいはっせいしょうがい)

発声を制御する声帯の筋肉が不随意に収縮します。話すことができなくなるか、または声がひずむ、ふるえる、かすれる、ささやき声になる、ぎくしゃくする、甲高くなる、途切れる、不明瞭になるなどして、聞き取りにくくなります。

職業性ジストニア

このジストニアは、体の一部位に起こるものです。例えば、ゴルファーで手と手首の筋肉に不随意の収縮が起こることがあり(イップスと呼ばれます)、イップスのためにコントロールが失われスイングがほぼ不可能になる人もいます。また、音楽家(特にピアニストやバイオリニストなど)指、手、または腕にけいれんが起こり、演奏ができなくなることがあります。管楽器を演奏する音楽家では、口にけいれんが起こることがあります。
書痙(しょけい)もジストニアの症状でペンや筆で文字を書こうとするときに痙攣が起こります。

メージュ症候群

不随意のまばたきと、歯ぎしり、しかめ面が起こるジストニアです。したがって、眼瞼けいれん・下顎(かがく)ジストニアとも呼ばれます。

【症状】

  • 首が上・下・左・右・斜めに傾く
  • 首がねじれる・足がねじれる
  • 身体がゆがむ
  • 目・まぶたが閉じてくる
  • 口が開いたまま(または閉じたまま)で動かせない
  • 舌がくねくね動く・舌が出てくる
  • 声が出にくい・出ない
  • 字が書けない 書きにくい
  • お箸やペンが持てない・持ちにくい
  • ピアノやギター、ボールを投げる… など特定の動きができなくなる

【鍼灸治療】

身体は細胞の破壊と再生を繰り返します。これは鍼(はり)をうつことで一旦細胞の破壊が起こり身体はその破壊された部分を修復しようと反応します。つまり「再生」「代謝」が高まり神経や組織細胞の自己修復が起きるのです。
ジストニアは脳から脊髄(中枢神経系)に障害が起こることで、自分の意思とは関係なく身体が動いたり、筋肉が収縮するといった「不随意運動」が生じます。
思うように体を動かすことができなくなった部分に、鍼灸治療を施すことで首や身体の緊張が緩和し、改善しやすくなる効果が期待できます。

背中に鍼をさす鍼灸師の写真(画像)|フリー素材「ぱくたそ」