突発性難聴

【概要】

突発性難聴とは、「朝目が覚めると発症しているような突然発症する難聴」です。2001年の厚生省研究班調査によれば「突発性難聴で治療を受けている人」は年間で約35,000人と推定されており、30~60歳代が中心です。男女差はほぼありません。

【症状】

通常、左右いずれか片側のみです。再発はほとんどありません。発症から治療開始までの間に難聴の程度が変動することはありません

難聴に加えて耳鳴りやめまいを伴うこともあります。内耳には聞こえを担当する蝸牛、身体の平衡感覚を感知する三半規管や前庭と呼ばれる構造物が存在しています。そして内耳から蝸牛神経、前庭神経がつながります。耳鳴りは聞こえに関係する神経系の異常興奮によって生じます。そのため、難聴とともに耳鳴りを自覚することがあります。

障害が強い場合、蝸牛・蝸牛神経だけではなく、三半規管・前庭・前庭神経にも影響が広がります。そして回転性または浮動性のめまいを生じます。つまり、めまいがある方が重症度は高いことになります。

【原因】

難聴は聴力が低下して音が聞こえにくくなる状態ですが、音が伝わる経路のどこが悪くなっているかによって『伝音性難聴』と『感音性難聴』に大別できます(両者の混合もあります)。

『伝音性難聴』は耳から音を伝える器官の障害で、中耳炎や、異物・耳垢などによる耳の穴の閉塞や狭窄によって引き起こされます。
『感音性難聴』は聴覚神経や脳の聴覚野など音を感じ取る部分の障害で、メニエール病や、ストレプトマイシン(抗生物質の一種)などの薬物の副作用によって引き起こされます。

その他、大きな騒音が絶え間なく聞こえる場所で働く人に起こる騒音性難聴(職業性難聴)、特に原因がないのに突然起こる突発性難聴などがあります。

【鍼灸治療】

原因不明である突発性難聴になった多くの人は、首の後ろ側で耳に近い部位(後頚部)から肩にかけての筋肉が非常に硬く強張っているケースが多く見られます。耳周辺のこの強張りを鍼灸(はり灸)で取り、血行を良くすると(内耳に行っている血管は一つしかありません)、強張りが柔らかくなってきます。
病院での治療を始められると同時に、鍼灸(はり灸)治療を始めると効果が期待されます。